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2007年3月 1日 (木)

NPOが拓く新しい日本社会

わけあって5~6分のスピーチ原稿を書きました。
苦労して書いたので、ご一読いただけると幸いです。
口語体で、繰り返しが多いので、
読みにくいかもしれませんが、ご容赦ください。

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本日は、いまなぜNPOが重要なのか、3つの切り口からお話ししたいと思います。
3つの切り口とは、「新しい公共」、「新しいコミュニティ」、「新しい産業」というキーワードです。

【新しい公共】

 戦後のほとんどの時期、日本で公(おおやけ)といえば、官が独占してきたと言えるでしょう。公害、いじめ等の社会問題が発生すると、まず政府が批判され、新たな法律が制定され、予算がつき、関係省庁が問題を解決するという、いわば「官依存型問題解決」が一般的でした。そして、日本は、政治はダメでも、官僚は優秀、経済は一流といった、固定観念がありました。しかし、いまや官僚機構の機能不全は明らかです。行政は間違いを犯さないという神話は崩壊しました。変化の激しい、そして、グローバリゼーションの進む現代社会の問題に、政府・官僚機構だけでは効果的に対応できなくなってきました。だからこそ小泉改革の「官から民へ」という流れが国民に支持されたのです。民には企業とNPOの二つのプレーヤーがいます。ここでは新しいプレーヤーであるNPOについてお話しします。

 最近「新しい公共」という言葉を使うようになってきました。自民党のマニフェストにも書いてあります。新しい公共とは、公共セクター(おおやけ)を官が独占するのではなく、官と民、特にNPOが行政と協力しながら担っていく公共という意味です。政府セクター、企業セクター(市場と言ってもいいでしょう)、そして非営利セクターの3つのセクターが支えあって、社会が成り立っているのが現代社会であろうかと思います。大きな政府の時代には、非営利セクター(NPOセクターのことです)は、あまり重要ではありませんでした。しかし、小泉改革路線を推し進め、政府が小さくなれば、誰かがその穴を埋めなくてはいけません。その穴を埋めるのが、非営利セクター・NPOセクターです。小さな政府、官から民へという改革を進めれば、必然的に新しい公共の担い手、NPOの役割は増すのです。

【新しいコミュニティ】

 第二の切り口は、新しいコミュニティです。これはアメリカの有名な経営学者のピーター・ドラッカーなんかが言っていることですが、都市化が進む現代社会において、昔ながらの地縁のコミュニティに代わる新しいコミュニティが必要です。特に都市部に住んでいる人たちは、ふるさとを遠く離れた場所に住み、近くに親戚や幼なじみもいない、そんな状況が普通だと思います。

 そんな都市住民にとっては、昔ながらの地縁的コミュニティというのはなかなか敷居が高いものです。都市部に地方から出てきた新住民にとって地縁コミュニティというのは、必ずしも居心地のいいものではないケースもあります。そこで新しいコミュニティが必要になります。例えばスポーツや趣味の会、例えば環境保護や不登校児のケア、介護といった共通の興味をもった人の集まり、それが新しいコミュニティと言えるでしょう。人はどこかにより所を求めます。それが終身雇用全盛期には会社であり、会社人間という言葉さえ生まれた背景です。しかし、転職が一般的になり、非正規社員や派遣労働者が増えると、会社というコミュニティには帰属意識をもてない人が多く生まれます。彼らにとっても、新しいコミュニティ・NPOは、居場所として重要な意味を持ってきます。社会の中でどこかに居場所を見つけられれば、自分らしく振舞えてあるがままに受け入れられる居場所があれば、ノイローゼになったり、自殺したり、家庭内暴力を振るったりしなくてもすむ人がたくさんいるのではないかと思います。

 さらに団塊世代の大量退職時代を迎え、団塊世代の地域デビューが始まります。団塊世代のサラリーマンこそ会社人間の典型であり、会社を辞めて、肩書きと名刺とネクタイがなくなると、どうしていいかわからない男性が多い世代です。女性は地域に溶け込むのがうまいのですが、私も含めて男性は概して地域に溶け込むのが下手です。会社人間に目的意識とやりがいを与えることができるのが、地域社会に貢献する、つまり、仕事の場であるNPOではないかと思います。

【新しい産業】

 第三に、NPOは新しい産業としても大きな可能性をもっています。町おこし、地域の安全、子育て支援、介護や障害者福祉といった分野は、NPOにとって大変可能性のあるフィールドです。雇用創出効果という意味でもNPOはたいへん重要です。そして、やりがいのある仕事を提供できる、という意味でNPOは大切な雇用の場です。

 社会起業家、英語ではソーシャル・アントレプレナーとも言いますが、そういう言葉が最近出てきました。ベンチャー企業を起こすような情熱と創造力をもって、仲間を募りNPOを立ち上げ、社会を良くするために働く人たちのことです。起業家(起こすの起業ですね)と言えば、お金儲けのための起業家ですが、社会企業家は社会を良くするために起業します。環境保護や障害者福祉、子育て支援に、防犯など等、多種多様な分野で活躍しています。一流企業でバリバリ働いていた若者や定年退職した元サラリーマンなどが、新しくNPOを立ち上げた、そんな事例がいまやゴロゴロ出てきています。

 そしてNPOで働く人たちは、給料はそんなに高くなくても、いきいきと働いている人が多いことに特色があります。仕事に対してお金よりもやりがいや生きがいを求める若い人が増えている、という実感を私は持っています。ちなみに私のNPO職員時代の年収はだいたい300万円よりちょっと下でしたが、それでもその頃はけっこう幸せな時代でした。今よりも楽しかったのは間違いありません(笑)。例えば、NPO職員時代に仮に結婚したとして、年収300万円では家族を養うのは厳しいけれど、奥さんも同じようにNPOで働いて300万円位の収入があって、夫婦で600万円の収入があれば、それなりに幸せになれるかな・・・、とそんなことを考えていたものです。蛇足ながら、いまだ独身でその夢はかなっておりません(笑)。

 ちょっと脱線してしまいましたが、このように新しい公共、新しいコミュニティ、新しい産業の3つを創り出すNPOが、これからの日本社会でますます重要になり、政府としてもNPOが活動しやすい環境づくりに取り組むことが大切だと思っております。

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