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2007年5月18日 (金)

外交は理念より実利

石射猪太郎氏著の「外交官の一生」という本を読みました。
外交の分野で名著と言われている本です。
石射氏は、戦前から戦中にかけて活躍した職業外交官です。
幣原外交の信奉者で、戦前の上海の東亜同文書院出身で、
対中国善隣外交を目指した外交官です。

今振り返ると、国際協調主義、平和主義、対中国善隣主義の
幣原外交を批判する人は皆無に近いでしょう。
しかし、幣原外相は在任中、軟弱外交と批判され、
特に最後の頃は不人気でした。

威勢のいい右翼や軍部が台頭してきて、
政党の一部も右翼や軍部と結託して強硬な外交を主張し、
幣原外交の時代は終わりました。
その後は戦争への道をまっしぐら。

石射氏は、外交における理念を次のように批判します。

「戦争中は新秩序理念、大東亜理念が論じられ、
外交にまで理念がついてまわった。
<中略>
理念の文字を冠する外交論は、
いずれも曲学阿世の舞文であった。
<中略>
外交に哲学めいた理念などあるものか。
およそ国際生活上、外交ほど実利主義なものがあるであろうか。
<中略>
少しでも多くのプラスを取り込み、
できるだけマイナスを背負い込まないようにする。
理念もなにもない。外交の意義はそこに尽きる。」

理念にもいろいろありますが、
石射氏の場合、理念よりも実利を追い求めた結果、
幣原外交的な国際協調路線・平和主義に行き着いたわけです。
理念を追求して国を戦争に引きずり込み国土を廃墟にするより、
損得勘定を重視して国際協調・平和主義を求めるほうが、
ずっと健全だと思います。

石射氏は、信用第一の実直な商人のような外交が望ましい、
といった趣旨のことも言っています。
一見もっともらしい理念や正義に踊らされることなく、
実利主義・現実主義に立脚した外交、
武士道より商人道に基づく外交が良いのかもしれません。

感情的になって判断を誤る熱血漢よりも、
冷静で慎重な政治家でありたいと思います。
どんなときもCool Head & Warm Heartでいきたいものです。

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