民主党はテロ対策特別措置法への対案として、
自衛隊のアフガニスタン派遣を含む法案を検討しています。
自衛隊を農地や農業施設の復旧・整備や医療活動にあたらせる、
といった内容の法案だそうです。
まったくの愚策です。
自衛隊がやる必要もなければ、得意でもないことを、
自衛隊に無理やりやらせるのは賢明ではありません。
自衛隊は人道支援やインフラ整備の専門家集団ではありません。
自衛隊は外部の武装勢力の侵略に対して戦う組織であって、
海外での人道支援やインフラ整備はそもそも本業ではありません。
防衛庁から防衛省に移行したときに、
海外活動も本来業務の一部に指定されましたが、
それでも自衛隊の仕事は一義的には武力侵攻に対処することです。
日本国内の自然災害でも自衛隊は出動しますが、
緊急時に自己完結的でマンパワーがある組織の自衛隊を、
使わないのはもったいない、という発想だと思います。
災害時の緊急救援は消防署や海上保安庁等の方がプロです。
それを補強する意味で自衛隊はたいへん重要ですが、
あくまで消防や海保が「主」であって、自衛隊は「従」だと思います。
24時間「人命救助だけ」を専門にやっている消防庁より、
戦争の専門家集団で、災害時だけ「人命救助も」やる自衛隊が、
人命救助において優れているとは思えません。
モチはモチ屋。
援助は援助屋。
途上国における人道支援やインフラ整備を専門にしているのは、
国際機関(ユニセフ、国連開発計画、WHO、世界銀行など)、
ODA実施機関(JICA、JBIC)、NGOです。
アフガンの民生支援も援助専門機関に任せるべきです。
軍事組織の工兵という職種は応急処置はうまくても、
パーマネントな構造物の建設は必ずしも専門ではありません。
PKO部隊の工兵が病院や学校を修復すると、
ハコモノの応急処置や建設はとりあえずできても、
その後の維持管理や住民参加型の運営といったソフト面が下手です。
特に途上国の開発支援においては「住民参加型開発」が長年主張され、
一方的にハコモノを作って去っていく、という押し付け型援助は、
望ましくないとされるのが、援助のプロの間の一般常識です。
自衛隊が海外で活動する場合は、
自衛隊でないとできない活動に限定すべきです。
例えば、ゴラン高原の停戦監視活動はNGOやJICAでは無理です。
自衛隊が行く必然性と意義があります。
あるいは戦闘が続いていて軍事組織でないと人道支援ができない地域なら、
自衛隊が行く意義があるかもしれません。
しかし、アフガニスタンでは多くのNGOや国連機関が活動し、
JICAもプロジェクトをやってきた実績があります。
なにも今さら自衛隊が出て行く必要はありません。
残念ながら民主党案は、国際援助に詳しくない議員が、
机上の理屈、あるいは、政局的事情だけでつくったものだと思います。
もう少し地に足の着いた法案をつくっていただきたいものです。
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