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2008年6月 3日 (火)

インドネシア文学評論(?)

この数週間インドネシア文学の最高傑作と言われる、
プラムディヤ・アナンタ・トゥールの4部作に、はまりました。
主に電車の中で読み続け、やっと読み終わりました。

プラムディヤはノーベル文学賞に何度もノミネートされたものの、
残念ながら受賞することなく、2006年に亡くなりました。

プラムディヤは、政治犯として3度にわたって投獄されました。
一度目は1947年から2年半ほど独立戦争中にオランダ軍に投獄され、
二度目は1960年から61年にかけてインドネシア国軍に投獄され、
三度目は1965年から10年以上も同じく国軍に投獄されさました。
ブル島の監獄にいた頃に書き上げたのが、私が読んだ4部作です。

プラムディヤは信念と勇気の人です。
こういう過酷な人生を歩んだ人だからこそ、
味わい深い文学作品が生み出せるのでしょう。
こういう文学作品を書ける人にはなりたいですが、
同じような過酷な人生に耐える自信はありません。

この4部作を読むと、オランダ植民地勢力に対する憎しみと、
インドネシアに対する愛国心が湧いてきます(インドネシア人でなくても)。
東南アジア研究者や東南アジア・フリークの間では必読書です。
多くの東南アジア研究者が「お薦めの本」として本書をあげます。

この4部作の日本語訳が出始めたのは1986年ですが、
完結したのは2007年でした。

1部 「人間の大地」   1986年
2部 「すべての民族の子」1988年
3部 「足跡」      1998年
4部 「ガラスの家」   2007年

20年近くかかって翻訳されたので、読者としてはもどかしかったです。
私は確か大学生の頃に読み始め、1部と2部は続けて読んだのですが、
3部が出るのが待ち遠しく、大きな本屋で毎回チェックしていました。
4部に至っては、3部が出てから10年近く待たされました。
出版社に「なんで4部は出版されないんですか?」という手紙を出した程です。
あまりにも4部の出版が遅いので、すっかり忘れていました。
完結の4部が出ているのを知ったのが、ごく最近のことです。

1部の「人間の大地」は4回読みました。
2部の「すべての民族の子」は3回読みました。
3部の「足跡」は2回読みました。
何度読んでも新しい発見があり、感じ方も年齢とともに変ります。
インドネシアに1年ほど住んでみて、ますますこの本が好きになりました。

プラムディヤ・アナンタ・トゥールの4部作、お薦めです。
きっとあなたもインドネシアに行きたくなります。
どうやってインドネシアという多様な民族と宗教からなる国家が、
形成されて行ったかがわかります。
多様で寛容な多文化共生社会をつくるために、
日本がインドネシアから学べることも多々あるはずです。

なお、この作品はトヨタ財団「隣人をよく知ろう」プログラムにより、
助成を受けて翻訳・出版されました。
こういった民間財団の活動が、二国間関係の改善や文化交流に、
大きな役割を果たしていることも付記します。

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