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2008年7月 1日 (火)

穀物生産と市場経済の効用

今朝の朝日新聞を読んで驚きました。
いつの間にかロシアが小麦輸出国になっていたんですね。
ロシアが輸出できるほど小麦を生産しているなんて、
旧ソ連時代のイメージからは想像できませんでした。

旧ソ連時代(1970年代ごろ)などは
米ソの冷戦を戦う大国でありながら、
旧ソ連はアメリカから大量に小麦を輸入していました。
私の頭の中には、ロシアが輸出できるほど大量に
小麦を生産できるはずはないという思い込みがありました。

旧ソ連時代の集団農場では生産性が低く、
市場経済が導入されて生産性が上がったということでしょう。
これも中央計画経済・統制経済よりも、
市場経済の方が優れていることを証明する好例かもしれません。

そういえば食糧不足で飢餓が起こっていたインドも
いまでは立派なコメ輸出国になっています。
緑の革命という農業技術革新の結果という側面が大きいでしょうが、
社会主義的な経済運営をやめた影響もあるかもしれません。

一般論として市場経済は効率的な資源配分に有効です。
もちろん市場経済は、所得の再分配には向かないし、
防衛やインフラといった公共財の生産には必ずしも適しません。

市場は万能ではありません。市場も失敗します。
経済学の教科書には「市場の失敗」が必ず出てきて、
経済学を普通に勉強していれば「市場原理主義者」にはなりません。

他方、市場の失敗を政府の力で矯正しようとし過ぎると、
今度は必ず「政府の失敗」も出てきます。

いま反構造改革・反小泉改革を唱える人たちは、
批判の枕詞に「市場原理主義」というラベルを使い、
市場の失敗を是正するために、
政府の関与を大きくし、規制を強化しようとします。
政府の関与が大きくなり、官僚機構が力を盛り返し、
歳出削減圧力が緩和され、増税路線へ一直線です。

市場の失敗に適切に対応するのは当然大事です。
しかし、市場の失敗に目を奪われ過ぎて、
それより害の大きい政府の失敗を招きかねないのが、
昨今の日本の世論の動向ではないかと思います。

市場の失敗と、政府の失敗のバランスを見ながら、
市場の失敗の是正コストが過大にならないようにしないと、
官製不況(改正建築基準法、金融商品取引法等)を再発します。

レッテル貼りは思考停止への第一歩です。
新聞・雑誌で「市場原理主義」というキーワードを見かけたら、
じっーと考えて、単なるレッテル貼りの感情論、
隠れた行政肥大化擁護論ではないか警戒しましょう。

大事なことは、
1)市場も政府も失敗する(どちらも完全でない)、
2)失敗を防ぐことも大事だが、
3)失敗を防ぐコストを過大にしない慎重さも必要、
ということではないかと思います。

慎重さとかバランス感覚を重視すると、
カッコよく歯切れのよい議論にはなりません。
ズバッと歯切れのよい議論ばかりではなく、
留保条件のついた、慎重かつ誠実で微妙な議論も、
政治の世界ではときには大切です。
複雑な事象を短絡的にとらえない知性も、
政策決定の場においては重要だと思います。

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