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2008年7月16日 (水)

相対化する国家主権

新聞報道によれば、国際刑事裁判所(ICC)の検察局が、
スーダンのバシル大統領の訴追手続きを申し立てました。
人道に対する罪などで、一国の現職大統領に
逮捕状が出されるかもしれません。
訴追容疑は集団虐殺と戦争犯罪、人道に対する罪です。

びっくりしました。
私にとっては、かなりショッキングなニュースです。
20世紀の常識が通用しなくなってきました。

かつて国家主権は絶対でした。
しかし、いまや国家主権を飛び越えて、
一国の元首が国際刑事裁判所に訴追されそうな勢いです。

国際刑事裁判所にアメリカが反感を持つのもうなずけます。
この調子だと中近東や中南米のどこかの国が
ブッシュ大統領を訴えても不思議ではありません(?)。

20世紀の外交上のイノベーションである国際連合は、
あくまでも主権国家が集まってできた合議体でした。
国際連合の権限といっても国家主権に優越するものでもなく、
あくまでも主権国家が限定的に関わる、ふわふわした組織でした。

しかし、欧州連合(EU)に典型的に見られるように
国家の主権の一部をより上位の機構に移譲するケースも出てきました。
アジアでは東南アジア諸国連合(ASEAN)、
アフリカではアフリカ連合(AU)等の地域共同体が影響力を増し、
国家主権の相対化が少しずつ進行してきました。

また、人権が国家主権に優越し、国際的な人道的介入が許される、
という意見も国際社会では一般化しつつあるように思います。
ある国の独裁者や軍事政権が、自国民を虐殺していれば、
国際社会なり他国は軍事介入しても正当化される、
といった考え方も奇異ではなくなってきました。
それにしても、EUレベルの国家主権の相対化さえ飛び越して、
国際刑事裁判所が国家元首を裁くというのはショックです。

国家主権の相対化という現実を前にして、
日本の進むべき道筋を長期的視野に立って考える時期だと思います。
民主党の小沢代表の国連絶対化論が解決策とは思えません。
また、視野狭窄の鎖国的・復古的な国家主義も解決策にはなり得ません。

ASEAN的な経済共同体からゆっくりスタートして、
アメリカやオーストラリアまで含めた環太平洋・東アジア共同体を
30年くらいかけて構築していくのがいいのかな、と思っています。
太平洋が、本当の意味で「平和の海(Pacific Ocean)」になるよう、
日本の外交を進めていきたいと思います。

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