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2008年9月27日 (土)

日英シンポジウム講演

今日の日英議会政治シンポジウムで10分ほど講演しました。
講演のときのメモ(概要と原稿)を以下に記載します。
お忙しい方は概要だけでも、お時間のある方は原稿も、
ご一読いただけるとさいわいです。

シンポジウムでご一緒したある大学の教授からは、
「山内さんがいろんなところで活躍しているし、
 国会でも目立っているから、選挙大丈夫でしょう?」
と言っていただきました。

しかし、国会や論壇での活躍と地元選挙区での評価は、
あんまりリンクしていません。
こうやって東京で開催される議会改革シンポジウムに出ても、
地元の有権者はひとりもいないと思って間違いないでしょう。

有権者に名前と顔を覚えてもらうだけでもたいへんです。
政策まで知ってもらうのは、なお難しいです。
候補者の政策まできちんと知った上で、
投票所に向かう人はそれ程多くないのが残念です。

せめてブログで宣伝しなくては!
ちょっと長いですが、ご一読をお願いします。

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「国会議員と官僚の関係」

アウトライン
1.公務員制度改革法案の成立過程:渡辺行革大臣と与党議員、官僚の関係
1)政・官の指揮系統の無茶苦茶さ:「うちの大臣はちがうお考えですが・・・」という根回し
2)与党内の抵抗勢力(官房長官他)と改革推進勢力の戦い@党の国家戦略本部
3)国会での決着:福田首相の決断、および、民主党案の丸呑み

2.国会議員と官僚の関係の問題点
1)族議員と各省官僚との運命共同体的馴れ合い:大臣より大物族議員の影響力が大きい。
2)各省割拠主義:省益あって国益なし、視野狭窄のタテ割り発想
3)議員が細かい行政事務に介入する傾向:行政的政治家の跋扈

3.内閣主導こそが政治主導のあるべき姿
1)「政治家主導」でも「与党主導」でもなく、「内閣主導」が政治主導の王道。
2)政官接触の集中管理:官僚によるコントロール、官僚への過度の依存を排す
3)公務員制度改革は、実のところ政治改革である。

講演用原稿

国会議員と官僚の関係を考えるにあたって具体例として、
今春成立した公務員制度改革法案の成立プロセスについてお話します。
この法案は明治以来110数年ぶりの公務員制度の大改革となるものです。
公務員制度の改革であると同時に、実は政治の改革、統治機構の改革でもあります。

この公務員制度改革法案は安倍政権以来の公務員制度改革の流れのなかで、
渡辺喜美行政改革担当大臣が中心になって推進してきました。
しかし、中央省庁はすべて反対。自民党内の国会議員にも反対勢力が強く、
特に「過去官僚議員」とか、「族議員」と呼ばれ、
現在の制度を維持したい政治家が多くいました。
与党内の改革抵抗勢力と官僚機構が結託して、
渡辺大臣の動きを潰そうとしました。

渡辺大臣を支えたのも同じく与党内の議員でした。
与党内の争いと政府内の争いが、並行して発生しているのが、
きわめて日本的な現象と言えるでしょう。

日本では官僚が政治に介入することが当たり前のように行われます。
影響力のある与党議員のところには、官僚が頻繁に出入りします。
政府の何のポストにもついていない政治家に対する根回しに、
官僚は相当な労力を割いています。
与党内の路線対立に官僚は介入します。

たとえば、与党内で経済産業省寄りの族議員と農林水産省寄りの族議員とが対立し、
官僚がそれぞれの応援団として政策論争を支えます。
また、本来は政治家がやるべき法案の修正や与党内調整まで、
官僚が代わりにやっているケースが頻繁に見られます。
政治学者の言葉を借りれば「政治家的官僚」が多いのが、日本の中央省庁の特色です。

渡辺大臣が公務員制度改革を進めているときに、
その部下であるはずの官僚から
「公務員制度懇談会報告書への素朴な疑問」という文書がばらまかれました。
渡辺大臣の部下の官僚が与党議員のところへ行って、
「うちの大臣はちがうお考えのようですが・・・」と前置きして、
大臣の方針に反する説明と根回しをして回るといったことが起きます。
大臣と部下の官僚との指揮系統が無茶苦茶になっているのが現状です。

その渡辺大臣を支えたのは、与党内の改革推進勢力でした。
与党内では、主に若手議員を中心に渡辺大臣の応援団が党内議論をリードし、
与党内の抵抗勢力へ圧力をかけました。
最終的には福田総理の決断で、「民主党案丸のみ」と言われながらも、
公務員制度改革を前に進めることが決まりました。
福田総理の決断までは、混沌とした状況で、政治家と官僚が入り乱れた論戦が行われました。

本来、官僚が主要なプレーヤーとして公務員制度改革の議論に加わっているのはおかしな話です。
公務員制度改革を公務員主導でやったら、公務員にとって都合のよい制度になって当然です。
政治家が中心になって議論を進めるのが自然です。

今回は民主党も「公務員制度改革法案がつぶれてよろこぶのは官僚だけだ」という判断から、
政府・与党との法案の修正協議に応じました。
与党と野党が歩み寄って、大きな改革が前に進みました。
たとえ衆参がねじれていても、与野党が大人の対応をすれば、
政治は前に進むことが、この公務員制度改革で証明されました。

公務員制度改革の成立プロセスの例でわかるように、
族議員と官僚が運命共同体的になれ合って政治を歪めています。
大臣よりも大物族議員の方が、役所に影響力を持つといった現象が起きます。
大物族議員は役所に口出ししますが、責任はとりません。
権限と責任がセットになっていないのが、無責任な体質を助長します。

また、政治家があまりにも特定の省庁と近くなり過ぎて、国家全体の利益よりも、
省益を優先して考えてしまう、タテ割り発想に陥ります。
官僚がどうしても自分の省の利益を考えてしまうのは、ある意味当然のことです。
しかし、政治家までが国会全体の利益より、特定の省の権益を守るようになっては、
議会と行政とのチェック機能が働かなくなります。

また、日本では「箇所付け」と言われるような公共事業の予算配分などに国会議員が介入し、
行政の細かい事務にまで政治家がタッチします。
政治学者の言葉を借りれば、「行政的政治家」が多いのも問題です。
政と官の役割が時に逆転しているのが、日本の政治の問題のひとつです。

日本の国会議員と官僚との関係の問題点について述べてきましたが、
これを改善するには内閣主導の統治システムをつくる必要があります。
政治主導が必要と言われますが、ここで言う政治主導は、
個々の政治家が行政事務に介入する「政治家主導」でもなく、
与党が権限と責任が不明確な形で政府に介入する「与党主導」でもありません。

議員内閣制にふさわしい「内閣主導」こそが、政治主導の正しい方向性です。
首相を中心とする内閣が、タテ割り発想ではなく、
国家全体の総合的な観点から各省庁の政策に優先順位をつけ、
前例にとらわれない柔軟な政策を推進するのが、あるべき政治主導です。
官僚が政治に介入するのではなく、内閣を中心に政策の総合調整を行いながら、
政治家と政治任用スタッフ(官僚出身者も含む)が官僚機構を指導していく体制が必要です。

官僚機構に依存しすぎる現状を変え、民間のシンクタンクやNPO等とも連携しなくてはいけません。
また、人材の官民の行き来を活発にして、多様な専門性と経験をもった官僚を採用する努力もあわせて必要です。
今回の公務員制度改革では、官僚主導の政策形成からの脱却を図るため、
内閣に「国家戦略スタッフ」を置くこととしています。

また、内閣への求心力を確保するため、幹部職員の人事権を内閣に集めます。
従来の幹部人事は、官僚OBの大物等が介入し、仲間内だけの不透明な評価で決まっていました。
結果的に失敗しても誰も責任をとらない、無責任体質のなあなあ人事になっていました。
これからは内閣人事局が、客観的かつ透明な人事評価を行い、信賞必罰を徹底します。
こういった努力を通じて、国会議員と官僚との関係もより良いものになっていくことと期待しています。

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