オバマ大統領の言葉
NHKのホームページの「解説委員室」というサイトがあります。
そこに立命館大学で言語学を教えていらっしゃる東照二教授が
「オバマと麻生・政治家の言葉」というコラムを書いています。
東教授は「政治家の言葉」についての興味深い本を書かれ、
以前から私も東教授の著書の大ファンです。
東教授のコメントを抜粋すると;
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オバマ大統領の演説は、経済危機を一つのケースとして、
それを超えた、もっと、国民、人間としての誇り、責任、義務、
自信、希望といったものについて熱く語った演説だということです。
個別的な経済政策を述べた演説ではなく、もっと根源的で、
哲学的な方向性、可能性、未来像、ビジョンを述べた演説だったわけです。
そして、まさに、この部分に私たちは、国境、言語を越えて、
強く感銘を受けたといえるでしょう。
---------------中略---------------------------------------------
オバマ大統領の演説の特筆すべき点は、経済対策という政策的課題ではなく、
アメリカ国民としての誇り、責任、価値観、歴史観といった
哲学的なメッセージをわかりやすいことばで述べたのだということです。
---------------中略---------------------------------------------
オバマ大統領は、「新しい責任の時代」(a new era of responsibility)
ということばで、国民共通の未来像を定義し、変革、行動を促し、
アメリカ人としての誇り、希望を鼓舞し、祝福したのだといえます。
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オバマ大統領の政治家としての言葉が感動を与えたのは、
個別具体的で無味乾燥な政策論を語るのではなくて、
誇りや責任、義務、価値観、歴史観といった哲学的なメッセージを、
アメリカ国民に向かって語りかけ、「一緒に行動しよう!」と
呼びかけたおかげだった、ということのようです。
経済危機で自信を喪失しがちな日本国民を鼓舞し、勇気づけ、
前向きに夢を語り、行動に駆り立てる、そんな政治的リーダーが、
日本には必要とされていると思います。
政治学者の高瀬淳一教授は著書「武器としての『言葉政治』」で、
現代の日本政治において、言葉がいかに重要かを分析しています。
日本では、自民党の定額給付金や高速道路割引にしても、
民主党の農家の所得保障や子ども手当、高速道路無料化にしても、
「いくらお金を配ります」という哲学的でない政策論が中心です。
先の参議院選挙マニフェストの民主党の最重点の「3つの約束」は、
1.年金は国が責任を持って全額支給します。
2.月額2万6千円の「子ども手当」を支給します。
3.農業の「戸別所得補償制度」を創設します。
という3項目が柱でしたが、すべて「現金を配ります」という話です。
対する自民党のマニフェストも似たり寄ったりで、
決してほめられたマニフェストではなかったと思います。
先の参議院選挙のマニフェストはどっちもイマイチだったけれど、
与党は「マネジメント能力」で低評価を受けて敗退したのだと思います。
いま日本の政治的リーダーに求められているのは、
これからの日本をどういう方向へ持って行くべきなのか、
というビジョンや理念をわかりやすい言葉で示していくことだと思います。
オバマに見習うべきは、スピーチのテクニックやネット戦略ではなく、
国民共通の未来像を定義し、変革、行動を促し、
すべての日本国民の希望を鼓舞するための「言葉」を持つことだと思います。
与党も野党も「お金を配る」政策論だけではなく、統治システムのあり方、
人口動態や社会変化にあわせた「新しい公共」のあり方について、
それぞれビジョンと理念を示し、その具体化のための政策論を掲げて、
勝負する選挙戦を目指すべきだと思います。
今年必ずやってくる政権選択の衆議院選挙においては、
「いくらお金を配ります」という国家単位の利益誘導合戦ではなく、
「どんな国を目指すのか」というビジョンと理念の勝負を志向すべきです。
そして、それに勝てる自由民主党の体制をつくるべきです。
*NHKホームページ「解説委員室」
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/16388.html#more
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