« 総選挙前にやるべきこと | トップページ | 都議選敗北で流動化 »

2009年7月12日 (日)

昭和の名将の条件

今日は注目の都議選挙ですが、浮世離れしたネタをひとつ。
政治的リーダーも見習う点があると思われる「名将の条件」です。

半藤一利氏と保坂正康氏の「昭和の名将と愚将」を読むと、
名将と言われる指揮官にはある程度の法則があるようです。

山本五十六、栗林忠道(「硫黄島からの手紙」で有名に)、
山口多聞、今村均、本間雅晴など、いろんな人が出てきますが、
アメリカやイギリスに駐在した人が多いです。

敵国のことをよく知っていたからよい作戦が練れた、
ということもあるでしょう。
しかし、それ以上に英米型の合理的・プラグマティックな思考が、
戦略や戦術を考える上で重要だったと私は思います。

日清・日露戦争の頃は、戊辰戦争や西南戦争の実戦経験者がいて、
欧米の先進国に謙虚に学んだ将校がいて国際法も遵守し、
やみ雲な精神論に頼らず、最新兵器を揃えて戦いに臨んだのでしょう。

日露戦争当時でも、日本軍の方が機関銃等の当時の主要兵器も多く、
日本海海戦でも日本海軍の方が良質な兵器が揃っていました。
日清・日露の戦いは、精神論ではなく、兵器や戦術の質、兵士の練度、
モラール(士気)等の総合的な要素で勝ったのだと思います。

そこを勘違いして神がかり的になった昭和の陸海軍が失敗したわけです。
そのあたりは名著「失敗の本質:日本軍の組織論的研究」に詳しいですが、
昭和の名将たちは、決して神がかり的にならずに、
部下や家族を愛し、クールに判断し、断固として行動しています。

また、陸軍幼年学校(中学相当)卒業生はあまり名将になれず、
一般の中学(旧制中学)出身者の方が名将になっています。
中学から純粋培養で軍事だけ勉強し、神がかり的精神論を教え込まれ、
合理的な判断ができなくなってしまった結果だと思います。

逆に教養教育を重視し、広い視野を養う教育を行った旧制中学組は、
距離を置いて客観的に物事を判断する素地ができていて、
名将となる必要条件を満たしていたのではないかと思います。

指導者になる人の必要なのは、大局的・客観的に物事を見る能力で、
その素地には教養や知性、国際的センスが必要なのだと思います。

また名将に共通しているのは、虚勢を張ったり、威張り散らしたり、
私利私欲を優先させたり、といった見苦しい行為に走らないことです。
名将になるためには、まず紳士でなくてはいけないということでしょう。

よい政治家の条件も、名将の条件と同じようなものかもしれません。

*半藤一利、保坂正康「昭和の名将と愚将」文春新書、2008年

|

« 総選挙前にやるべきこと | トップページ | 都議選敗北で流動化 »